DESIGN EXTREME SEMINAR 2014 in FUKUOKA REPORT

様々なクリエイターの方に向けた「DEXS 2014 in FUKJUOKA」が、3月28日に福岡イムズホールにて開催されました。
4つのセッションに分かれ、それぞれの業界のトップクリエイターが登場したこのセミナーレポートをお届けします。

チームラボによる、巨大インタラクティブ・デジタル・インスタレーション
「秩序がなくともピースは成り立つ」はこうやって作られた!

尹俊釋 氏

講師:尹俊釋 (ユン ジュンソク) 氏

チームラボ株式会社

多摩美術大学美術学部情報デザイン学科情報デザインコースを卒業後、新卒でチームラボに入社。カタリストとして『秩序がなくともピースは成り立つ』プロジェクトに参加。他にも『世界はこんなにもやさしく、うつくしい』など主にアート展示やイベント、プロジェクターを使用するプロジェクトを担当。

坂下渉 氏

講師:坂下渉 氏

チームラボ株式会社

岩手県立産業技術短期大学校・情報技術科を卒業後、中途でチームラボへ入社。『秩序がなくともピースは成り立つ』の開発のほか、サーチエンジン、スマートフォン・アプリの開発を担当。

 

「DEXS 2014 in FUKUOKA」の最後を飾ったのは、ウルトラ・テクノロジスト集団チームラボのユン氏と坂下氏による、シンガポール・ビエンナーレで発表された、巨大インタラクティブ・デジタル・インスタレーション「秩序がなくともピースは成り立つ」のメイキング解説。CPU や PC の進化によって、デジタルアートの表現の可能性が大きく広がることを感じさせるセッションとなった。

「秩序がなくともピースは成り立つ」
prod co: teamLab

シンガポールの新聞の一面でも大きく取り上げられて話題をさらった「秩序がなくともピースは成り立つ」は、透明な透過スクリーンに浮かぶ 56 体のホログラムがインタラクティブに作用しあうアートピース。ユニークなのは、音楽を奏でる CG キャラクター間にリーダーは存在せず、各々が演奏するうちに "引き込み現象" を起こし、お祭りのような高揚感が醸成されること。鑑賞者がキャラクターに近付くと 1対1 のリアクションが起こり、その連鎖によって、引きこみ現象の調和は壊され、またバラバラに演奏が始まるというアルゴリズムだ。

そのアルゴリズムのプログラム開発にメインで関わった坂下氏がまず語ったのは、膨大な CG アニメーション制作の苦労について。
「1 体のキャラクターにはそれぞれ 30~40 動作のアニメーションがあります。最終的に採用していないキャラクターを含めると、開発時には 300 体ほどいて、制作したアニメーションの合計は約 9,000 にも上りました。それぞれのキャラクターには楽器が充てられていて、アニメーションに合わせて楽器や掛け声の SE を気持ちよく連動させていく作業が大変でした」(坂下氏)

日本での重要な事前開発の 1つが、鑑賞者を探知するセンサー。インスタレーションのレイアウトなどに合わせる必要があるため、チームラボで自作をしている。赤外線センサーとマイコンが実装されたデバイスを 3D プリンターで出力した外枠のプロトタイプで囲み、鑑賞者がキャラクターの前を通過した際に感知するテストを繰り返した。

チームラボで自作した、鑑賞者を探知するためのセンサー

そういった果てしない実験と制作を日本で行った後、ビエンナーレ開催日までの約 2 ヶ月は坂下氏たちのチームは現地で泊まり込み、空間制作に最終チェックと作り込みを進めてゆく。

巨大なインスタレーションを設置する工程も、メイキング映像で披露された。PC 1 台につき 2 体のキャラクターを制御するシステムのため、優れたスレッド性能を備えた CPU とグラフィック処理能力を持った PC が最低でも 28 台、テスト機や予備機を加えると約 70 台の PC が必要となる。さらに、底上げした床に PC とプロジェクターを埋め込む構成のため、PC はコンパクトなボディであることも必須条件だったという。70 台の Ultrabook™ (ノート PC) がインテルから貸し出され、アート空間は完成に近付いていった。

PC とプロジェクターを埋め込むために、会場を床上げしている

「今回使用した透明スクリーンは 1% の光をキャッチし、映像を映し出しますが、残り 99% の光は透過する性質のものです。そのため、スクリーンよりも天井にキャラクターが鮮明に映ってしまう問題が発生しました。それは、展示空間全体も明るくしてしまうという副次的な問題も生み出しました。解決策として、天井に細かな黒いメッシュを貼り、天井に目が向かないように目線をコントロールし、黒で覆う事で暗い空間を作り出すことができました」(ユン氏)

暗い空間を生み出した、天井を覆う黒いメッシュ

「私たちが作っているデジタル作品というのは、CPU や GPU の性能が上がっていくことによって、表現の幅がさらに広がっていきます。映像の解像度も今やフル HD、4k と大容量のデータを扱っていくことになるんですが、それを再生する際に必要なのが、データの読み書きが素早くできる SSD です。

さらに最近だと、インテル® Galileoインテル® Edison などの開発ボードも出てきているので、空間の設計の自由度や表現の方法も変えていくことができます。ウェアラブルといった新しい表現にチャレンジしていけると思います」(坂下氏)

 

「お絵かき水族館」
prod co: teamLab
子供たちが紙に自由に描いた魚の絵が、目の前の巨大な水槽の中で泳ぎ出すインスタレーション。人が水槽に近付くと逃げ出したり、エサをあげられたりと、インタラクティブに楽しめる。

チームラボは、1 人でできることよりも、チームだからこそできることを大切に活動している。先進的な技術を駆使しながらも、誰もが気軽に楽しめる空間を提供するチームラボの作品は、その場に居合わせる全ての人たちを楽しい時間に巻き込んでくれる。国境を越えて注目されるクリエイティブで痛快なアートの挑戦は、今年もその歩調を緩めずに進んでいくだろう。

 

日々進化を続けるテクノロジーと、それによって拡張、洗練、変化してゆくクリエイティブは、作り手や鑑賞者のマインドをも変化させてゆく。初の地方開催となった「DEXS 2014 in FUKUOKA」では、そんなテクノロジーとクリエイティブの確かな繋がりを実感できるイベントとなった。

取材:white-screen.jp

 

DEXS 2014 in FUKUOKA

  • 4k session
  • CG & VFX session
  • MOVIE session
  • INTERACTIVE session