DESIGN EXTREME SEMINAR 2014 in FUKUOKA REPORT

様々なクリエイターの方に向けた「DEXS 2014 in FUKJUOKA」が、3月28日に福岡イムズホールにて開催されました。
4つのセッションに分かれ、それぞれの業界のトップクリエイターが登場したこのセミナーレポートをお届けします。

映画『魔女の宅急便』
VFX メイキング

秋山貴彦 氏

講師:秋山貴彦 氏

株式会社4Dブレイン 代表取締役/VFX スーパーバイザー

CG・VFX 映像制作会社 4Dブレイン代表取締役。映画、TV、CM、PV、博展映像などの映像クリエイターとして国内外で活躍、数々の国際賞を受賞。01年 「Final Fantasy」*、05年 「HINOKIO」、06年 「九尾狐家族」、07年 「スピーシーズ4」、14年「魔女の宅急便」など。「VFX-JAPAN アワード」 などを企画、運営している日本の CG・VFX 産業の興隆を支援する為の組織 「一般社団法人 VFX-JAPAN」 の代表理事を務めている。

 

CG & VFX session では、映画「Final Fantasy」*、「HINOKIO」などで CG ディレクター/映画クリエイターを務めてきた、日本の VFX の第一人者ともいえる秋山貴彦氏が登壇。VFX スーパーバイザーを務めた映画「魔女の宅急便」の VFX のメイキングついて、貴重なフッテージの数々と共に紹介した。

映画「魔女の宅急便」予告編  © 2014 「魔女の宅急便」フィルムパートナーズ

「魔女の宅急便」の清水崇監督からの VFX への要望は「「ライフ・オブ・パイ」は目指せるのか?」など、極めてハードルの高いものだったと振り返る秋山氏。約 1 年 2 ヶ月の制作期間、ハリウッド映画にはほど遠い予算の下、ハリウッド・クオリティを実現させることが秋山氏の挑戦となった。

メイキングセッションで中心に解説されたのは、主人公魔女のキキにとって最大の見せ場となる飛行シーンと、相棒である黒猫のジジについて。魔女の代名詞ともいえる箒での飛行シーンは、現場吊り、グリーンバック吊り、グリーンバック・ライド、4D Views* の 4 種類の手法を駆使して撮影され、その背景に、空撮した風景や CG で作った素材を合成している。飛行シーンでは絵コンテでは分からない立体空間を把握するために、バーチャル空間で撮影スタジオを再現し、バーチャルカメラを使ったプリビズを制作することで、カメラの引き尻や高さや位置確認を事前に行っている。

飛行シーンの背景となる空撮には、ラジコン・ヘリコプターを多用して撮影が行われている。
「合計 20 時間分くらい、ラジコンヘリに RED EPIC* を乗せて空撮をしています。利点は、通常のヘリよりも超低空飛行が可能であるということ。小さいために風の影響を受けやすいという欠点があるので、揺れる画面を後処理でスタビライズをすることは必須でした。そのため撮影は 5k で行い、スタビライズを掛けても 4kHD でのフレーミングのクオリティを確保しています」(秋山氏)

キキを撮影した 4 種類の撮影手法について解説しておこう。現場吊り、グリーンバック吊りは、ワイヤーでキキを吊って飛行シーンを撮影する手法。4D Views* は、360° の複数台カメラで人物を撮影した映像から 3D データを生成するシステム。そして、"人力ライドシステム" は今回新たに開発した仕組みだ。

「ライドシステムは、「ハリー・ポッター」* などでも使用された、コンピューターで油圧制御したマシンを使うものですが、撮影では箒が乗ったマシンの動きに役者が体の動きを合わせなくてはならないという難点がありました。そこで僕らが採用したのが、人力によるライドシステムです。グリーンのタイツを着た巨漢が、人力で箒が乗った台を操作することで、キキが操縦しているかのように、役者の演技に合わせた細やかな動きを演出出来ました。これで我々はハリー・ポッターに勝てるということですね (笑) 」(秋山氏)

 

© 2014 「魔女の宅急便」フィルムパートナーズ

キキの相棒である黒猫のジジは、オール CG で描かれたもの。コンセプチャル・アート、粘土でできた原型モデルを作成した後、4D Views* で本物のネコをキャプチャーし、動きを三次元的に解析することで、アニメーターのリファレンスとした。子猫の体型で大人猫の動作をするという複雑なジジの動きを生み出すため、子猫と大人猫の 2 匹をキャプチャーしている。

CG ジジの開発では、毛のジオメトリを描画するのが難しいため、アニメーション・モデルでは毛の量感が分かるように、レンダリング・モデルよりも太めにするなど工夫している。毛の生成には Autodesk* Maya* のプラグインである Shave & A Hair Cuts を使い、7,000 万本の毛を生やすことを目指したものの、レンダリングに膨大な時間が掛かりすぎるため、600~700 万本に減らす措置が取られた。
また、毛並の質感を表現するにはライティングが重要となる。そこで、ジジが登場するシーンでは背景を HDR で撮影し、それに連動した CG のライティングが自動生成できるライトリグを導入することで、クオリティアップと作業の効率化を実現させた。

アンビシャスな VFX ワークとなった「魔女の宅急便」。レンダリングに関しては、社外の 120 台ほどのレンダリング・サーバーと、インテルの CPU を搭載した Windows* PC を中心に社内ネットワークに 9 台繋ぎ、この映画のためにシステムを新たに構築してやり遂げたという。

 

日々進化を続けるテクノロジーと、それによって拡張、洗練、変化してゆくクリエイティブは、作り手や鑑賞者のマインドをも変化させてゆく。初の地方開催となった「DEXS 2014 in FUKUOKA」では、そんなテクノロジーとクリエイティブの確かな繋がりを実感できるイベントとなった。

取材:white-screen.jp

 

DEXS 2014 in FUKUOKA

  • 4k session
  • CG & VFX session
  • MOVIE session
  • INTERACTIVE session